セックス・ピストルズ

11/4 武道館


 「ミラノ・ライブ」の音楽評ではあれだけコケにしておきながら、行ってしまいました。実際行こうかどうか迷っていて、そのうちもう売り切れだろうと諦めていたら、大学の先輩から譲ってもらうことができました。なんだかんだいって期待してでかけていきました。

 武道館に着くと、まず、パンクの格好をしている人が少ないことに驚きました。少ないというよりいない。いたとしても渋谷系ぐらい。ほとんどがいかにも学生という感じでした。そして、先輩への土産用にパンフレットを買いましたが、高い。2000円もする。ジョン・ライドンをジョン・リドンと訳してたり誤訳だらけ。チケットに8500円も払わせて、さらにボるか。さすがツアー名通り”汚い金儲け”だ。

 私は武道館でのライブというものに多分初めて行きました。広い広い。チケットはS席なのに、結局アリーナ席。ステージの人の表情など見ようがない。しかも、立ち見ではなく、キッカリ区画化された指定席。本当にこんな所でピストルズをやるのか。開演になって初めて前座があることを知りました。FLUFFYという全員女性のパンクバンド。けれど武道館は前座には広すぎました。15分ほどで前座が終わり、しばらく空きがありました。BGMは”YMCA”。パンクにYMCA。ここに来て初めて感動させられてしまいました。

 そしていよいよセックス・ピストルズの登場。「パンク? 汚い金儲けさ。」と書かれた当時のデイリー・ミラー紙の記事がコラージュされた垂れ幕が降り、フィンズベリーパークと同様、”BODY”から始まりました。出来は思った以上。あの歳であれだけできればたいしたものでしょう。フィンズベリーパークでは、ジョンはあちこちミスってましたが、今回はそれもクリアー。歌も当時のようなアグレッシブさはないものの、ジョンらしい個性的な歌い方が出来ていました。

 しかし、客が盛り上がらない。アリーナ席はほとんど座っている。私もその中で座っていたので同罪なのですが、座りながらも踊っていたし、”GOD SAVE THE QUEEN”や”LAIR”などの好きな曲は一緒になって歌い、ジョンやグレンの名を呼びかけました。それなのに私の周りはそれさえもしない、映画でも見るように沈黙して見ている。”BOO!”とジョンの方が客にブーイングを与える始末。アンコールの時でさえ手拍子すらしない。まだ、”ANARCHY”はやっていないというのに。しょうがなく、ピストルズが出てきて、もっとやるのか?とジョンが聞く。YESの声も大合唱にはならず、空しく響く。”ANARCHY”が始まった時に立ち上がったのはその辺では私だけだった。

 ピストルズも”ANARCHY”を合唱させようと、さいごのサビにドラムだけの部分を作るという暴挙にでたのですが、大合唱にはなりませんでした。ピストルズも盛り上がらないなら盛り上がらないで、P.I.Lの”パリ・ライブ”のような雰囲気を作ればいいと思うのですが、彼らはもうそれほどアグレッシブではありません。これはジョニーおじさんのショーなのです。彼らもそれを自覚しているところがすごい。そして、そんなピストルズも勝てないのが日本の客。ミラノやロスキルドでは盛り上がり過ぎて中断しましたが今回はその逆、フィンズペリー・パークでは演った2度目のアンコール曲”NO FUN”も演らずに終了。最後、スティーブは日本人の真似をして土下座していました。これは再結成に対する抗議なのか? それにしても高い金払って”ANARCHY”も聞きたくないのか? とオヤジくさい説教も思いつくのですが、まあ、こんなこともなかったら今回書く気はしなかったと思うし、まあ、おもしろいライブでした。

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