アンタなんか大嫌いだ






     背中合わせに夢を見る










    
    
「エド」


普段は『鋼の』って呼ぶくせに、2人きりになると大佐は俺をそう呼ぶ。
先程まで書類を見ていた机に俺を座らせて、何が楽しいのか俺の髪を弄りながら。    
抵抗しても意味が無いから、抵抗するのをやめて好きにさせている。    
その間にも大佐は、俺に色々と話し掛けている。

聞いてなんかやらない。






「今日は大人しいんだな。どうかしたのか?」


いつもなら激しく抵抗するのに今日は全くしない俺に、大佐は少し驚いたように言う。
抵抗したら暴れる俺を楽しそうに見るのに、抵抗しないと今度は心配そうに尋ねて、俺の顔を覗きこんでくる。   

見てなんかやらない。






「・・・・エド」
「っ・・・・・!」


俺の服に手を忍び込ませて、そっと撫でてくる。その感覚に背筋が震えるが、声は出してやらない。   
唇を噛み締めて耐える俺に大佐は少し苛立って、優しいようでその実意地悪な愛撫を激しくしても。
血が出ても声を我慢することは止めない。

声なんて聞かせてやらない。





   
「エド」
「あっ・・・・・!」


絡めあった手から相手の体温が伝わって、痛いほどに握り締められる。
俺よりずっと大きな手が、縋るように俺の指に自身の指を絡めてくる。

握り返してなんてやらない。








アンタといると、俺は幸せになる
アルのことも忘れて、アンタと一緒にいることを望んでしまう


そんなのは許せない、赦せない
俺1人で幸せになんかなれない




アンタといると、俺は赦されてしまう




   



情事が終わった後の気だるい中で、俺は必ずアンタに呟く
   


「アンタなんか大嫌いだよ」






声や唇が震えて
目頭が熱くなって何かが込み上げて視界が潤んでも
噛み締めた唇から血が滲んでいても
握り返さなかった代わりに 俺の手に爪跡が残っていても
  

絶対言ってやらない
   




いつか俺とアルの身体が元通りになるその日まで俺は何百回でも言うだろう








「アンタなんか大嫌いだ・・・・・っ!」







生暖かい液体が頬を伝った。   





 前サイトの初ロイエド小説。初っ端から暗いです(痛)
 昔のパソコンを整理していたら発掘したので、記念に載せてみました。
 「早く崩れてしまえ〜」の純情エドバージョンです。