「アルデレラ、早く服にアイロンをかけてちょうだい。着られないじゃない」
「アルデレラ、早く掃除してくれよ。汚れてるだろ」
「はいっ!」
町の外れにある少し古びた大きな家からは、毎日アルデレラ(鎧)の返事をする声が響き渡りました。
あれから数ヶ月、アルデレラ(鎧)の運命は大きく変わりました。
父親が仕事先で事故に遭って亡くなり、アルデレラ(鎧)には血の繋がらない3人の家族だけしかいなくなりました。
ところがこの母子、父親がいたときは親切で優しい人達だったのですが、父親が亡くなった途端ガラリと変わりました。いえ、これが本性だったのでしょう。
後妻だというのに自分の物だと家を支配し、アルデレラ(鎧)の綺麗な洋服も広い部屋も奪ってしまいました。
可哀想なアルデレラ(鎧)は汚らしい服しか与えられず、食事も乾いた1枚のパン切れだけ。毎日朝から晩まで働き通しで、白くて滑らかだった手は水仕事や巻き割りで荒れてガサガサの豆だらけです。
それでも心優しいアルデレラ(鎧)は、
『家を追い出されないだけで十分。僕は鎧を着ているから服なんて気にならないし、手だって誰の目にも届かないから』
と思い、この辛い日々を耐えていました。
「本当にアンタは使えないわ。ペットのグラトニーの方がよっぽど可愛いわよ」
「本当にお前はグズだねぇ。・・・・殺すよ?」
この義姉達は本当に意地悪で、アルデレラ(鎧)を苛める事を楽しんでいました。
アルデレラ(鎧)の数少ない服を1晩放置した牛乳に浸したり、鎧の飾りに灰をかけて汚してみたり。
その苛めは実にショボいですが、かなり陰湿で効果的な物でした。
姉のラストとエンヴィーに毎日言葉の暴力と些細な事すら押し付けられて、アルデレラ(鎧)の鎧の中は涙で水溜りが出来ていました。
それでもアルデレラ(鎧)は天国の父と母が心配すると思い、『コート(家)の中では泣かないもん』をフレーズに顔で笑って心で泣いていました。
そんなアルデレラ(鎧)ですが、中には味方もいました。
味方1は、何と継母のエドワードでした。
普通なら継母が1番苛める筈ですが、このエドワードは心根が真っ直ぐな凛とした人でした。
娘2人に手がつけられずどうする事も出来ませんが、文句も言わずせっせと働いてくれる優しい義娘をとても可愛がっていたのです。
エドワードは娘2人に気付かれていないのを確認すると、そっと外に出ました。
「アル、コレやるよ」
「お義母様?」
アルデレラ(鎧)がその素敵な鎧を活かして実に爽快に薪割をしていると、継母のエドワードがやって来ました。
継母のエドワードは義姉2人の前だとアルデレラ(鎧)に冷たい態度を取りますが、2人きりの時は本当に優しいのです。
エドワードはアルデレラ(鎧)の前まで来ると、ポケットから1枚のハンカチを取り出しました。
それは淡いピンクのシルクで出来たリボンで、縁には細かいレースがあしらわれています。
「髪には着けられないけど、手首とかに結べるだろ?あいつらにバレないようにこっそり持ってろよ」
「ありがとうごお義母様!とっても嬉しいです」
やっぱりアルデレラ(鎧)も女の子。町で綺麗なドレスを着た娘に目が行きますし、贅沢をしている義姉達が本当はとても羨ましいのです。
継母はそれを理解していたので、バレにくく、でもお洒落で実は高価な物をアルデレラ(鎧)にあげていました。アルデレラ(鎧)は鎧の上からでも分かるほど嬉しがると、そっとリボンを万能ポケットに入れました。
継母もニッコリ笑うと、家の中に戻す。早くしないと義姉達に怪しがられるからです。
継母が戻ったのを見送ると、アルデレラ(鎧)も先ほどよりもっと軽やかに薪を割っていきました。
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2話目です。6話くらいで終わらせたい(希望かよ)
この話では継母が味方です。だってエドはアルに甘々なんです。ちなみに父親はブレダでした。