現在、写真界は従来の銀塩写真からデジタル画像へと注目が移り、マスコミ関係だけで見る限り、デジタル画像にほぼすっかり切り替わったように見えます。確かにデジタル技術の進歩には目を見張るものがあり、その可能性はとどまるところが無いかのようです。しかし、未だに銀塩写真を越える美しいモノクロームデジタル画像を見ることが無く、またそのコストは大変なものと聞きます。
写真のすべてがデジタル化してしまうのでしょうか。
ギャラリーや写真美術館で見る限り、美しいモノクローム銀塩写真が展示され、銀塩写真の新たな役割として注目されているように感じます。
我々は、科学と化学と人間の相互作用による銀塩写真制作のプロセスに時として、マジックのようなものを感じつつ銀塩モノクロームプリントに拘ってきました。写真は水によって生まれると我々は感じています。写真のプロセスには多くの水を必要とし、展示された印画プリントでさえ水を含み、水の膜を通して画像の美しさを見ているように感じるときがあります。
我々は、モノクローム写真技術をできるだけシンプルに捉えるように努めています。
アンセル・アダムスが提唱したゾーンシステムは、写真技術をシンプルに組み上げる方法論で、その特長は被写体をゾーンとして眺めるところにあります。そこから、光と露出、現像とプリントの関係を理解し、経験主義的な従来の写真技術を改め、写真のプロセスを明快に整理することが出来るのです。そして、ファインプリント制作のためにも、また、写真を続けていくためにも優れた方法であると考えています。
研究会は今年、カリフォルニア州カーメルにあるかつてアンセル・アダムスが使用してきた暗室に、子息のマイケル・アダムス氏の案内で見学して来ました。また、写真家のジョン・セクストンのレクチャーを受講し、カリフォルニアに住む写真家達との交流を通じて、彼らのファインプリントに対する取り組みに触れたことは大きな収穫でした。
研究会は今年で11年になります。毎年行う展覧会、撮影会、作品研究、技術研修を通して銀塩写真の特性をより深め、広めて行きたいと思っています。
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