撮影から仕上げまで、主として会員が工夫したノウハウ集です。 必ずしもすべての方に適合するとは限りませんが、いろいろな人の試みを知ることは参考になると考えて掲載しています。


  目次

No.4  フィルム現像用タイマー (古谷津純一)

No.3  プリントの保存 (荒井 崇)
 
No.2  4×5inシートフイルムのバット現像について  (諸見里朝和 

No.1  現像に使用するフィルムホルダー    (諸見里朝和)



No.4
 フィルム現像用タイマー (古谷津純一)

全暗黒が必要なシートフィルム現像,特にトレイ現像で便利なタイマーと使い方のノウハウです.

タイマーの準備
・トーキング(音声読み上げ)タイマー(写真左:主に目の不自由な人のために開発されたもの)
・普通のキッチンタイマー(中央)
・メトロノーム(右)
(注)タイマーやメトロノームは濡れた手で触るため,あらかじめビニール袋に入れるかラップに包んでおくと浸水による故障を防げます.

現像の実際
1. 水浴・現像液・停止液・定着液を準備し,「所定の現像時間+10秒」をタイマー2台にセットします.また,メトロノームはテンポを60(1秒毎に鳴る)にセットし,明るいうちからスタートしておきます.

2. 暗室でフィルムをホルダーから取り出したら,1枚目のフィルムはノッチの位置を逆にしておくと現像中に順番が確認できるため便利です.

3. 水浴まで完了したら,タイマー2台を同時にスタートし,メトロノームで10秒数えた時点で水浴から現像液に移動し現像を開始します.
・普通のキッチンタイマーは,万が一のための保険で,トーキングタイマーのみで実施可能です.
・例として6枚現像の場合は,1枚目のフィルムから10秒間隔(60秒/6枚)で順に現像液に投入し,メトロノームで秒数を数えながらトランプ攪拌して,現像を進めます.
・トーキングタイマーは,残り10分から1分毎,残り1分から10秒毎,
10秒以内は1秒毎に音声で知らせてくれるので,分単位の確認に重宝します.
・所定の現像終了時間がきたら,10秒ごとに最初の順番で停止液に移動します (定着も同様).



トーキングタイマー入手先
http://www.daikatsuji.co.jp/goods/12005.html

メトロノーム:長時間露出が必要な撮影にも被写体を見たままタイミングを計れるので便利です!
http://www.seiko-sl.co.jp/music/products/metronome/index.html

■ この記事について、ご意見やご質問があれば事務局へご連絡下さい。




No.3
  プリントの保存 (荒井 崇)

print_collection.pdf ←ここをクリック 

■ この記事について、ご意見やご質問があれば事務局へご連絡下さい。



No.2  4×5inシートフイルムのバット現像について
    (諸見里朝和)

私は現在、4×5inのシートフイルムの現像ムラを解消する為、【fig.1】に示すようなバットを使って現像しています。 当初、市販のフィルムホルダーと専用タンクを使用し、色々な攪拌方法を試してみたのですが、どうしてもムラを解消することが出来ませんでした。試行錯誤の未、それは、ホルダーの形状とタンクの構造による攪拌ムラとの結論に至り、バットによる現像がベストだと思いたったのです。

このバット現像方法を考案するにあたり、つぎのことを主点に考えました。
1. 攪拌ムラを出さない為、フィルムの乳剤面を常に均一に現像液が流れること。
2. 効率の良い枚数であること。
3. フイルムに傷を付けない構造であること。
4. 製作が容易で、シンプルな構造であること。(大げさな装置は作らない)

現在、このバットによる現像方法によって満足な結果を得ていますが、バットの製作方法や、現像時のフイルムの出し入れ、攪拌方法などにはある程度のコツが必要です。又、多少の難点もあります。以下、それらについて、順に述べたいと思います。

1.製作にあたって
1) バットは大四つステンレス製を使用しています。サイズは4×5inのシートフイルムが6枚、余裕をもって並べられるので決めました。そして、攪拌時にバットの底の形状で現像液の流れに特定の変化が出てしまうのを懸念したのと、仕切りを入れるのに細工が容易であること、液温調整に有利である等の理由からステンレス製を選びました。
2) 攪拌中にフイルム同志が重ならないように仕切りを入れる訳ですが、仕切りによって現像液の流れに特定な乱れを出さないようにすることを最重点に考えました。そして、最も抵抗が小さいピン立てによる区分方式にしたのです。同じ理由によりピンの数も最小限にしました。結果的に製作もいたって容易になりました。

2.製作方法
1) バットを六等分する位置に印をつけます。

2) その位置にピンを計11本、接着剤で固定します。
手近にアルミリベット(錆ぴない、頭が平らで立て易い)があったので利用しましたが、ステンレスのバネ材などを利用しても良いと思います。その際は接着し易いように底が平になるように加工します。【fig.3】
      

3) ピンでフイルムに傷をつけないようにゴムチューブを被せます。【fig.4】
全体の高さは25〜30mm程度が現像作業が行い易いようです。



3.現像時のフイルム取扱要領
1) フイルムをバットに入れる時は、必ず乳剤面を上にして、【fig.5】に示すようにフイルムを持ちます。(フイルムとバット底面の間は液の流れが悪い。) そして、フイルムに傷を付けない様、指の外側でバットの縁やピンの位置をさぐり、フイルムを入れる位置を確認します。位置の確認が出来たらフイルムを離し、指の腹で、そっと液の中に沈めます。あまり押さえ過ぎるとバットの底にくっついてしまうので注意が必要です。
2) 個々のフイルムの現像時間差をなくす為に、入れた場所の順番に取り出す様にします。又、頭の中で数をかぞえながら、一枚一枚の間隔も同じにします。
3) フイルムを取り出す時は、爪先で乳剤面に傷を付けない様、バットの縁から(2枚以降は、先に取り出した位置から)底に指をこすりつけながら移動させ、フイルムの縁を探り、そっとつまみ出します。【fig.6】

4.現像・攪拌要領
1) 現像液の量ですが、私は現在1.5リットル使用しています。これは色々量を変えて試して決めました。あまり液が多いとバットから液がこぼれてしまうので、充分な攪拌が出来ません。又、少なすぎても液の流れが早くなり過ぎ、ピンの回りに乱れが出て来ます。私の液量とバットの深さの関係を【fig.7】に示します。
2) 攪拌方法はバットの縁を決められた回数、時々持ち上げて行います。ある程度コツが必要で、明るい所で液の流れを見ながら練習してみる必要があります。

@ 始め水平状態からバットの縁を15〜20mm程度持ち上げると、持ち上げた直後は【fig.8】の様な状態になりますが、やがて液が移動して【fig.9】のようになります。この時、重心が移動するので、持っているバットの縁が、ふわっと軽くなります。軽くなるのを感じたらバットをそっと下におろします。
A バットを降ろすと液が戻って来て反対側の縁で跳ね返りますので、それに合わせてまたバットを持ち上げます(波が1っ出来て、その波がフイルムの乳剤面を、なめて行くように)。 この一連の攪拌動作を規定回数繰り返したら(私の場合は、各五回ずつ)、今度は隣の縁に移動しますが、ここで注意する点が一つあります。それはバットの縦と横方向で液の流れる量が違うので、攪拌ピッチに差が出ると言うことです。当然、縦方向が少し長くなります。この差は@で述べた、持ち上げたバットが、ふわりと軽くなるタイミングの差で確かめることが出来ます。あくまでも液の流れにスムーズにタイミングを合わせる事が大事です。こうして順々に攪拌しながら現像時間中、連続攪拌します。

5.最後に
1) この方法による現像を行えば、シートホルダーとタンクを用いた時に見られる、部位的なムラは解消出来ますが、青空のような均一なトーンを大きく取り入れたシーンでは、気をつけて見るとまだ多少のムラが見られます。
これは、この現像方法では充分な初期攪拌が行えない為だと思われます。この問題を解消するには前浴が効果的です。これは、フイルムの乳剤に現像液が染み込んで行くのに時問がかかる為、初期の現像スピードがゆるやかになる為です。(その分、現像時間が30秒程度延びるので要注意。)
前浴もバット現像を行えば100パーセント完璧な青(グレー)空の表現が可能となるでしょう(もし、それでもムラが出来るようでしたら、停止ムラと、引さ伸ばし機の光源ムラの点検を行って下さい。)

2) 底が平らなステンレスのバットを利用した為、フイルムを入れた時に押さえ過ぎてしまうと底にくっついてしまい、取り出しにくいことが時々あります。これを解消する為に、バットの底にゴムの突起を付けてみようと、現在考案中です。 ※注

3) トランプ式現像方法と比べると、攪拌がゆるいようで現像時間が多少延びてしまいます。私はTMAX400を、現像液D-76、1対1希釈、液温22℃で、9分現像しています。

シートタンク現像、又はトランプ式現像等を行っていて、キズやムラ等でお悩みの方は、比較的簡単で安価に出来ますので、試してみることをお勧めします。



[ゾーンシステム研究会 会報 No.5およびNo.6(1996)より転載]

※注 フィルムがステンバットの底に貼りついてしまう不具合は、東急ハンズで3ミリ位のゴムの球が手に入ったので、それを半分にナイフで切ってからバットの底に貼り付けることで、簡単に解消することができました。

■ この記事について、ご意見やご質問があれば事務局へご連絡下さい。



No.1  現像に使用するフィルムホルダー

皆さんはフイルム現像を行っている時、手の汗や液でフイルムが貼りついて現像時間を狂わせたり、乳剤面に傷を付けたりした経験はありませんか? 暗室作葉で作業効率と安全確実なフイルム現像を行う為に考えたのがこのフィルムホルダーです。
前浴にフイルムを入れる時、片手を液に濡らしても、もう片方の手で一枚、一枚、容易にフイルムを取り出せるように工夫しました。


1) フイルムは、チェンジバッグの中でこのホルダーの中に入れます。一枚一枚高さを変えてあるのは、手探りでもフイルムを入れ安くする為です。
2) 中央を大きくX字にカットしてあるので、フイルムを一枚ずつ容易につまむ事が出来ます。上の段 (実際は、ホルダーを倒して置くので下の段) から取り出します。
3) ケント紙のような表面が滑らかで厚い紙で製作してあるのでフイルムを傷つけません。 又、紙なので製作が比較的簡単です。
皆さんもー回、試して見てはとうでしょうか。ちょっとした工夫で結果が大きく違って来ると思います。

 [ゾーンシステム研究会 会報 No.5(1996)より転載]

■ この記事について、ご意見やご質問があれば事務局へご連絡下さい。