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一枚の写真の成り立ちをトーンで見てみる。背景の白いサイディング、わずかではあるがトーンが見える。質感のあるキャンバス、それより少しグレーの肌、絵の具のついたグレーのパレット、足下の濃いグレーの草、植物、人物の黒いシャツというようにさまざまなトーンによって写真が成り立っていることが分かる。

このことを分かりやすくするため、この写真を切り刻んでトーンの順番に並べたのがBのステップ。印画紙自体の白を加えて9ステップのトーンで成り立っていることがよりハッキリしてきた。しかし純粋にトーンで見ることになるとまだ問題があり、各ステップの絵柄を平均して濃淡トーンにしたのがCのステップ。

この写真の9ステップのトーンをゾーンと呼び、この9ゾーンのどこかが使われて写真が完成していることが分かる。ゾーンシステムは、この9ゾーンと目前の被写体を露出計の目盛りと関連づけながら眺めることでイメージの想定、印画紙の再現域、適正露出、適正現像までを合理的に見つけることなのである。

 ゾーンシステムを実践するために

- 実用感度の設定 -  

 撮影する上で不可欠な感度はフィルムのパッケージに表示された公称感度であり、国際標準機構(ISO) の規定に準じて算定されている。しかし、ユーザーは規格と異なった条件下で撮影・現像処理しており、ここに「実用感度」という考え方が生まれる。ユーザーの使用する露出計・カメラの露出機構と精度・フィルムの現像状況・プリント時の引伸機や印画紙の特性など諸条件が異なると仕上がりも異なるが、その違いをすべて写真感度に集約したのが "実用感度”といえる。

- ネガ標準現像時間の設定 -  

 実用感度は「ディープシャドウ部にほんのわずかトーンが描写されているか否か」で決定したが、標準現像の設定は「ハイエストライト部にほんのわずかトーンが描写されているかどうか」を判断基準とする。ゾーンシステムでは、この考え方に基づいて標準現像時間を求める。

 ゾーンシステムによる撮影
(1) ビューイング・フィルター

コダック・ラッテンNo.90 がこれにあたり、濃いアンバー色をしている。
このフィルターを透して被写体を見ると、モノトーンに見えるため色に惑わされることなく、輝度比の違いとして被写体を見ることができる。


(2) インスタントフィルム

フレーミングやゾーンの確認のためにポラロイドはよく使う。1枚のポラロイド写真はさまざまな情報を与えてくれる。ビジュアライズの結果がその場で確認できるのもいいし、構図やレンズの選択、ピントまでも確認できる。

(3) ゾーンノートの記録

ゾーンの位置や撮影データをノートに記録することで、その後のフィルム現像やプリントの情報とする。記録ノートを見ることで撮影イメージの確認、その時の光、どんなことに注意したのか分かるように記録する。


Zone Note  (PDF A4原寸で印刷し、切り抜いてご使用下さい)   
(4) 撮影位置

被写体を見つけたらすぐに撮影するようなことはせず、カメラを置いて身軽になり、周りを歩いて見るのが良い。 被写体の美の中心は何か、カメラのベストポイントはどこか、光の状態は ・・・。 私は、被写体が何か語りかけてくるのを待つようにしている。

(5) ゾーンの位置付けと露出

カメラの位置やレンズが決まったら露出測定に入る。ビューイング・フィルターで被写体を眺めてゾーンの位置を決め、次にスポットメーターを用いて、ビューイング・フィルターで確認した被写体の重要な部分を測定する。


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