| <チビチリガマレポート>
読谷村のさとうきび畑のなかに、小さい谷のようになっていて、川が流れている静かな場所がある。そこにチビチリガマはあった。金城さんのアトリエや、大きくてきれいなリゾートホテルも近い。
姫子:姫子ねー、正直言ってちょっと足がすくんだねー。一人だったら絶対引き返してたと思う。
でも怖いとか思ったらいけないなあと思って頑張って階段降りたよ。
Dino:姫子が怖いと思ったのは、素直だと思うよ。僕もチビチリガマの前に立った時は、頭の中でいろいろな映像が出てきてさ、泣いちゃいそうだったなー。
姫子:考えてみたわけ。当時は天皇や国のために死ぬのが美徳だとされていて、そういう教育を受けたから、みんな投降より自決を選んだ、って言われてるでしょ。
それって今となっては全然考えられないことなんだけどさ、もし今の世の中でね、自分たちが見たこともない宇宙人と戦っていて、その宇宙人が攻めてくるとする。そいつらは私たちを見つけたら強姦して八つ裂きにして殺してしまう、とずーっと言われてるとするよねえ。
それを頭から信じてたらね、実際その宇宙人がすぐそばまでやってきたら超超超!怖いと思うわけ。
天皇とか国とか関係なく。
想像してみると、自分だってそうやって自決する方がまし、って思ったかも。
Dino:自決するほうがまし、か。戦争っていう極限状態においては、姫子が言ってるみたいに考えちゃうのかもなー。
姫子:自分の娘の首を包丁で切る、日本兵に命令されて泣いている赤ちゃんを自分の手で絞め殺す、爆弾の中、怪我をして倒れている人に背を向けて逃げる、、、戦争っていうのは平和なときには考えられない判断を人に迫る。
そのときに正常な判断が出来なくたってしょうがないと思うわけ。
そもそも、何が正常かっていうのもわからないわけだし。
問題は、そういう状況に人々を追い込んだこと自体にあるわけだから。
Dino:このガマの中だって、自決しようという人と、投降しようという人でずいぶん口論になったんだからさ。
アメリカ兵だってガマの中まで食料や衣料を持って「殺さないから出てきなさい」って入ってきたんだよ。
そこまで言われてもアメリカ兵の言葉を信じられなかったんだよな。
原因の一つとしては、日本軍は中国で民間の人を強姦し、物資を奪い、殺してきたからなんだよね。
だから同じことをされると思ったんだ。ガマの中に中国帰りの兵隊がいたらしいからさ。
姫子:情報の大切さがわかるよね。同じ状況になっても、一人の自決者も出さなかったケースもあるんだもんね。
この事件を考えると、本当に辛くなる。姫子はここに行ったあと3日間ぐらい、眠れなかったもん、、、
「明日 あなたは笑っているのだろうか 抱えきれない両手いっぱいの悲しみの果てに」(Cocco 『卯月の頃』)
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